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百合子夫人と二人でアールエフを創業して丸10年。歯科医が使うワイヤレスの口腔内カメラや放送用の小型CCDカメラを独自に開発し、社員160人、年間売り上げ27億円の企業に急成長した。経営方針も型破り。社内に会議室を設けず、必要な時に随時・随所でミーティングを開く。違う部署の社員の参加も発言も自由。「優等生」や「プロ」よりも「素人」の発想を大事にし、「無計画」と「朝令暮改」を奨励する。
「優等生は教科書に書いてあることは曲げちゃいけないと思ってるんです。だから、みんな同じ発想で、同じようなものを作り始める。それでは売れません。むしろ、素人のほうが、えっというアイデアを出したり、無理難題を言ってくる。それがまた、工夫の刺激になる」「うちは一度会議で決めたことでも平気で変えますね。動きだしてみて、パッと気がつくことがあるんですよ。これは違う方法がいいなと思ったら、次の週の会議まで待っていては、ものすごい時間のロス。まず、やってみること。ダメなら、即やめる。スピードつて、大事ですよ」
長野県上田市の生まれ。小学生の時に科学雑誌を参考に自分でラジオを組み立てた。うまくできると、親せきが買ってくれた。工業高専時代には友人と部品を仕入れてテレビを作った。近所で飛ぶように売れた。理髪店用には、お客さんが鏡に映して見やすいように画像を逆転させて喜ばれた。一時は学校の先生よりも収入があった。
大学を卒業後は会社勤めをしながら自力で小型の電卓を開発。退社して台湾で製造・販売を試みた。自主・独立のベンチャー精神は筋金入り。アールエフで口腔内カメラを開発した時も医療機器として認可を受ける手間を省いてコストを下げ、業界団体にも加盟せず、横並びを拒んで低価格で販売。日本を飛び出し、高品質なら受け入れる米国の歯科医たちに直接、通信販売して活路を開いた。
「日本は安全、安全、安全でしょ。技術屋もびびってしまって、医療関係をやりたがらない。これだけ技術力のある国なのに、メード・イン・ジャパンの医療機器はほとんどないんです。一方で、こんなものができないかと相談してくる熱心なお医者さんもいる。リスクはあるが、誰かがやらないと前に進まない」
価格競争が粗悪品を生むという批判もあるが、「粗悪品なら売れない。医療機器が高すぎては本当に必要な人が使えない」と反論する。丸山さんは、小学校の時に母を病気でなくした。家が貧しく、高い治療は受けられなかった。だから、田舎町の開業医がふだんの治療に使えるような、安い医療機器にこだわる。
カプセル内視鏡「ノリカ」も、まず手始めに新製品に積極的な中国で今年中にも販売を開始する予定。医療機器関連の技術者や起業家を育てる大学院大学を長野市内に開く計画も進めている。「同業者を増やすのかと言う人もいます。でも、うち一社では点にすぎません。点がごちゃごちゃ増えて、長野に行けばいろいろあるよと言われるようになれば、人も集まる。研究や開発の分担だってできる。だから、ライバルを増やさないと」。常識にとらわれない挑戦は続く。
あと書き
業界や国の規制には歯向かう丸山さんだが、物腰は柔らかく、技術開発の話になると目が輝く。現在、株式公開を準備中で「会社のカラーが変わらないか心配。研究・開発部門だけは独立させても自由な雰囲気を残したい」と真顔になった。
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